業務用エアコンの電気代が高くて困っていませんか?特に暑い夏や寒い冬には、エアコンの使用が欠かせず、電気代が大きな負担になっていることも多いかと思います。本記事では、業務用エアコンの節電方法と温度設定のポイントについて詳しく解説します。
この記事を読むことで得られること
- 業務用エアコンの消費電力と電気代の目安がわかる
- 効果的な節電テクニックが理解できる
- 適切な温度設定による電気代削減の方法がわかる
この記事を読み終えることで、エアコンの電気代を効率的に削減し、無駄なコストをカットできる未来が見えてくるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
業務用エアコンの消費電力と電気代の目安
業務用エアコンは「馬力」という単位が用いられる
業務用エアコンでは、冷暖房能力を表す単位として「馬力」が使われます。家庭用エアコンでは「kW」で表記されることが一般的ですが、業務用では使用場所や目的に応じて馬力が選ばれます。馬力が大きいほど、広いスペースを効率的に冷暖房できます。
家庭用エアコンは1畳あたり◯kWで表示するが、業務用は使用する場所や状況によって空調能力が異なる
一般的な家庭用エアコンでは1畳あたりの空調能力が◯kWなどの形で表示されますが、業務用エアコンは設置する空間の広さや高さ、使用状況に応じて求められる能力が異なります。例えば、天井が高い工場や広い飲食店など、場所によって求められる空調能力はかなり異なるため、正確な馬力の選定が重要です。
なお、1馬力あたりの消費電力は約2.8kW
業務用エアコンの消費電力は、1馬力あたり約2.8kWとされています。これはエアコンの効率や使用環境によって多少前後しますが、目安として覚えておくと便利です。
電気代は「消費電力×電力量料金×使用時間」で求められる
電気代を求める際には、「消費電力 × 電力量料金(円/kWh) × 使用時間」という式で計算できます。この式を使って電気代がどの程度になるのかを概算することが可能です。たとえば、電力量料金が17円/kWhの場合、1日8時間稼働させるといくらかかるのかを計算することで、コスト感を把握することができます。
業務用エアコンは1.5〜6馬力が一般的だが、計算式に当てはめると年間10万〜50万円ほどの電気代になる
一般的に業務用エアコンは1.5馬力から6馬力までのものが多く使用されています。この馬力ごとの消費電力を基にして電気代を計算してみると、年間の電気代はおおよそ10万〜50万円ほどになると考えられます。このように、大型のエアコンほど電力消費が大きく、それに伴って電気代も高くなることが分かります。そのため、使用する環境に合ったサイズのエアコンを選び、効率よく使うことが節電・節約に繋がります。
馬力ごとの電気代の目安
消費電力を17円と仮定した場合、1時間あたりの電気代は以下のようになる
以下の表は、エアコンの馬力ごとに想定される1時間あたりの電気代を示しています。この目安を使って、エアコンのランニングコストを把握し、節電計画に役立てることができます。
馬力(kW) | 電気代 |
---|---|
1.5(4.0kW) | 約68円 |
2(5.0kW) | 約85円 |
3(8.0kW) | 約136円 |
4(11.2kW) | 約190円 |
5(14.0kW) | 約238円 |
6(16.8kW) | 約285円 |
季節や電力会社によって異なるので、目安として覚えておくくらいでよい
なお、この計算は電力料金を17円/kWhと仮定して行ったものであり、実際には季節や電力会社によって料金が異なることがあります。そのため、あくまでも目安として覚えておき、実際の電力料金プランに応じて再計算することをおすすめします。また、使用する時間帯や気候の影響でも消費電力は変動することがあるため、その点も考慮して節電対策を考える必要があります。
業務用エアコンを使用する際に節電するコツ
定期的に掃除する
ホコリが付着すると効率が低下するので、こまめに掃除すること
ホコリが業務用エアコンのフィルターなどに付着すると、空気の流れが悪くなり、エアコンの効率が低下します。その影響で余分に電力を消費し、結果として電気代が高くなってしまいます。こまめにホコリを取り除くことでエアコンの性能を保ち、節電につながるため、定期的に掃除を心がけましょう。
フィルターに付着しているホコリを取り除き、汚れがひどい時は水洗いする
フィルターに溜まったホコリは消費電力の増加の原因となります。まず、フィルターを取り外し、掃除機でホコリを吸い取ります。その後、汚れがひどい場合は水洗いを行い、十分に乾燥させてから再度取り付けてください。これにより、エアコンの性能を最大限に引き出し、節電効果が期待できます。
温度設定を見直す
1℃変えるだけで10%の節電効果が期待できる
業務用エアコンの温度設定を見直すことで、大きな節電効果を得ることができます。具体的には、設定温度を1℃変更するだけで、消費電力を約10%削減することが可能です。例えば、冷房設定を27℃から28℃に変更するだけで無理なく節電ができます。このように温度設定を調整することで、無駄な電力を使わずに効率的に運転することが可能です。
極端な温度設定は体調不良を引き起こすので、無理のない範囲で実施する
極端な温度設定は従業員や来店するお客様の体調不良を引き起こすリスクがあります。冷房を極端に低温にしたり、暖房を過度に高温に設定すると、体が冷えすぎたり、室内が乾燥してのどや肌に負担がかかるなど、体調不良の要因となることも考えられますので、無理のない温度設定を心がけることが大切です。
室外機に日よけを設置する
室外機は外気を冷却もしくは加熱して室内に送り込む
室外機は、外気の温度を調整して室内に冷気や暖気を送り込む仕組みです。そのため、室外機が置かれている環境が高温だったり直射日光を受けていると、効率が落ちて余計に電力を消費することになります。
夏場は室外機周辺の空気を冷やすことで効率的に運転できる
特に夏場は、室外機が直射日光を浴びて高温になりがちです。そのため、室外機に日よけを設置することで、周囲の温度を下げることができます。これにより、冷却のために必要な電力が減り、効率的な運転が可能となります。
ただし、室外機の吹き出し口を塞がないようにする
日よけを設置する際には、室外機の吹き出し口を塞がないように注意が必要です。吹き出し口が塞がれると、空気の流れが悪くなり、かえって効率が下がってしまいます。室外機の周りには十分なスペースを確保し、風通しの良い状態を維持するよう心がけましょう。
扇風機やサーキュレーターを併用する
扇風機やサーキュレーターはエアコンの空気を部屋全体に循環する
エアコンの効率を上げるために、扇風機やサーキュレーターを併用することは非常に有効です。エアコンが作り出した冷たい空気や暖かい空気を部屋全体に循環させることで、室温が均一になり、エアコンの稼働時間を短縮できます。これにより消費電力を抑えることができ、節電効果が期待できます。
冷たい空気は下へ、暖かい空気は上へ行くので、それを考慮した向きにするとよい
空気の特性として、冷たい空気は下に、暖かい空気は上に移動する性質があります。このため、扇風機やサーキュレーターを使う際には、その性質を考慮し、冷房時は空気を上向きに、暖房時は下向きに送るようにすると効果的です。このように空気を効果的に循環させることで、より効率的にエアコンを使うことができ、節電につながります。
エアコンの風向きを調整する
空気の特性を意識し、冷房は水平方向、暖房は下向きにするとよい
エアコンの風向きを調整することも、節電には重要なポイントです。冷房時には、冷たい空気が自然に下に落ちる性質を活かして、風向きを水平方向に設定すると部屋全体が冷えやすくなります。一方、暖房時には暖かい空気を足元に送るために、風向きを下向きに設定するのが効果的です。こうした風向きの調整を行うことで、効率的に室温を保つことができ、余分な消費電力を抑えることができます。
ただし体に直接風が当たると体調不良につながるおそれがある
エアコンの風が直接体に当たると、体調不良を引き起こすことがあります。特に冷房時には冷えすぎに注意が必要ですので、風向きを工夫して、なるべく直接風が当たらないように調整しましょう。
飲食店や美容室などはこまめに風向きを調整する
飲食店や美容室のように多くの人が集まる場所では、室内の状況に応じてエアコンの風向きをこまめに調整することが重要です。客席の配置や利用者の動線に応じて風向きを変更し、効率的な空気循環を実現することで、エアコンの効率向上と電気代の節約につながります。
頻繁に電源を入れたり切ったりしない
起動してから設定温度に至るまでが、もっとも消費電力が多くなる
業務用エアコンは起動直後が最も消費電力が高くなります。エアコンが設定温度に達するためにフルパワーで運転を行うため、その分電力を大量に使用します。このため、頻繁に電源を入れたり切ったりすると、電力消費が増え、結果的に電気代が高くなってしまいます。なるべく一度電源を入れたら、安定した運転を続けることが節電に有効です。
24時間営業するような店舗はつけっぱなしにする方が効率的な可能性も
24時間営業の店舗などでは、エアコンをつけっぱなしにする方が効率的で節電効果がある場合もあります。頻繁な電源のオンオフは消費電力の増加につながるため、つけたままの運用が適切なこともあります。
夜間〜早朝は営業しない場合は電源を切り、営業開始のタイミングで改めて電源を入れるようにする
例えば、夜間から早朝にかけては営業を行わない施設では、エアコンの電源を切っておくことが効率的です。そして、営業開始のタイミングで再度電源を入れることで、無駄な消費電力を抑え、節電効果を得ることができます。
業務用エアコンの設定温度は何度が適切?
暖房は20℃、冷房は28℃が目安
業務用エアコンの設定温度について、暖房の場合は20℃、冷房の場合は28℃が目安となります。これは、一般的に快適な室内環境を保ちながら、無駄な消費電力を抑えるために推奨されている温度です。この温度に設定することで、電力消費を効率的に抑えつつ、快適な室内環境を保つことができます。
ただし、エアコンの設定温度と室温に差が出ることもある
設定温度が20℃や28℃であっても、実際の室温には差が出ることがあります。これは、エアコンの能力や部屋の広さ、外気温などの要因によるものです。このため、設定温度が適切であっても、室内が思ったように快適でない場合もあるため注意が必要です。
設定温度ではなく「室温」を確認し、温度を調整するように
重要なのはエアコンの設定温度だけでなく、実際の室温を確認することです。設定温度に依存せず、室温が適切に保たれているかどうかを確認し、必要に応じて温度を調整することで、快適な環境を維持しながら節電を行うことができます。
まとめ
業務用エアコンの電気代や節電のコツについて、本記事では詳しく解説しました。エアコンの運用におけるちょっとした工夫で、大幅な節電効果が期待できます。以下に重要なポイントをまとめますので、実践しやすいものから取り入れてみてください。
- 定期的な掃除で効率維持
- 温度設定を見直して節電
- 室外機の日よけ設置が有効
- 扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
- 風向き調整で快適な環境維持
- 頻繁な電源操作を避ける
上記の対策を取り入れることで、電気代の削減に大きな効果をもたらすことができます。日々の運用の中で少しずつ意識していくことが、長期的には大きな節約に繋がります。まずは簡単に実行できるポイントから取り組んでみましょう。